今野孝蔵先生

矢島宇吉先生

谷口茂寿先生

80年の歩み(総括)

  練馬神の教会 牧師 金 本 悟


『これらはすべて神から出ることであって、神は、キリストを通してわたしたちを御自分と和解させ、また、和解のために奉仕する任務をわたしたちにお授けになりました。つまり、神はキリストによって世を御自分と和解させ、人々の罪の責任を問うことなく、和解の言葉をわたしたちにゆだねられたのです。
・・・神と和解させていただきなさい。』                            (コリントの信徒への手紙二 5章18〜20節)

 練馬神の教会80年の歩みを神様が導いてくださったことを心より感謝します。
 この80年の間当教会は、7名の教職者や役員の方々、並びに多くの信徒教会員の方々によって、また、奉仕して下さった多くの他教会からの献身者の方々によって、そして訪問して下さった方々によって支えられてきました。教会を代表して感謝申し上げます。
 80年の歴史の中で、記憶されるべき言葉として、矢島宇吉先生の「純福音」、谷口茂寿先生の「聖書生活」、今野孝蔵先生の「聖書信仰」、そして、私が使う「和解の福音」などがあります。これらの言葉は、聖書のみ言葉が真実であるということをそれぞれの時代状況の中で言い表しており、イエス・キリストに従って生きていくように語りかけているのです。
 この10年間の世界の歩みを振り返ってみますと自然災害
が多いことに気づきます。 阪神大震災、新潟県中越地震、
そして最近ではスマトラ島沖地震とインド洋大津波が起こり
ました。その他にも、地球温暖化の影響とわれる異常気象が

引き起こす災害が世界各国で続いてます。

 また、国際社会の動きでは、紛争が相変わらず多いことに
気づきます。相変わらずイスラエルとパレスチナの間には争
いが続いており、
2001年9月11日に米国で起きた同時多発
テロによって米国はテロリズムとの戦争をはじめ、大量破壊
兵器があるという推測からイラクへの軍事攻撃を行いました。

 日本国内では、少子高齢化が急速に進み、個人の自由を尊
重するという名目で子供を放置したり、虐待したりするよう
な事件がしばしば報道されています。また、凶悪犯罪も増え
ています。

 人間の文明が進むことによって、人間は自然をコントロールできると考え、自然と共に生きることを忘れ、自然破壊を繰り返してきたかのようです。社会が豊かになることで人の心はかえってむしばまれているようです。共に生きるようにと創られた人間同士が痛めつけあったり傷つけあったり、殺し合ったりしているのです。神様はこれらの一見理不尽に思えるような事件や事柄をなぜ許しておられるのでしょうか。神様はこれらのことを通して私たちに何を語ろうとしておられるのでしょうか。

 練馬神の教会では、「和解の福音を担う教会の建設」という目標が与えられ、コリントの信徒への手紙二 5章16〜20節を主題聖句として歩んでいます。それは、今の世界の状況や社会にある苦難を直視するときに、自分と異なる生き方をしている人々や被造物と共に主の前に生きていくことを神様からの語りかけとして受け止めているからです。
 神様は大自然を私たちに与えて下さいました。しかし、被造物との共有財産である自然からの恵みを人々が独占し、思いのままに乱用することに対して神様は警告を発しておられるように思えてなりません。自己中心的な私たちの自我は、一見理不尽なことがあると自分を守ろうとしてすぐに反応し始めます。自分にとって利益がありそうな事に対してもすぐに反応して行動するという動物的な本能も身につけています。
 そのようなときに、私たちがいったん立ち止まり、神様の御旨を求め、神様からの語りかけを聞く心と耳を持とうとする姿勢を神様は求めておられるのではないでしょうか。 また、様々な苦難に満ちた今日の世界にあって、自分と異なる価値観を持ち、異なる生き方をしている人々との間に橋をかける努力を続け、共に生きる道を探り続けることを神様は求めておられるのではないでしょうか。 それらは簡単なことではありませんが、それがイエス様に従うということなのです。
 この目標は、振り返ってみますと教会の歴史において一部は実践されていることに気づきます。今野孝蔵先生が牧会された1970年以降には実に多様な人々が当教会で教会生活をされました。そして、様々な教団や教会で現在活躍されている多くの献身者を生み出しました。また、他の教団や教会の方々からも支えられてきました。
 この教会から神学校へ進んだ献身者は、まず、橋本やN先生(貫井南町キリスト
教会牧師、聖書神学舎卒)、金本悟(練馬神の教会牧師、ホウィートン大学・
トリニティー神学校・プリンストン神学校・アジア神学大学院卒)、松井英子姉
(聖書神学舎卒)、銘形秀則先生(東京聖書学院卒)および銘形恵先生(東京聖
書学院卒)、中村智博先生(聖契神学校卒)および、中村(旧姓下松)千枝子先
生(聖書宣教会・音楽科卒)、今野嗣世先生(東京聖書学院・アンダーソン神学
校卒)、嶋田幸蔵先生(アンダーソン神学校卒)、植松有美姉(共立基督教研究
所卒)、
植松光春先生(東京基督教短期大学卒)です
 これらの献身者の方々の多くは、1980年代から練馬神の教会の教会形成に関わ
ってくださり、時を得て日本各地へ羽ばたいて行かれました。 中村智博先生
1983年副牧師就任)と中村千枝子先生(1984年伝道師就任・現バプテスト佐賀
教会音楽主事)は、
1986年に連盟・二日市クリスチャンセンター牧師として赴任
されました。銘形秀則先生(
1982年副牧師就任)と銘形恵先生(1981年、伝道師
就任)は、
1990年に空知太での開拓伝道を開始され、連盟・空知太栄光キリスト
教会の牧師となられました。植松光春先生は
1992年に 東京基督教短期大学卒業と同時に連盟・大阪鴻池神の教会牧師として赴任されました。今野嗣世先生(1986師就任)は神の教会保育園保育主事やアンダーソン神学校留学(19931996年)を経て、1996年9月に連盟・今宿キリスト教会の牧師として赴任されました。嶋田幸蔵先生(1990年教育主事就任)は、1996年4月に連盟・玉川神の教会牧師となられました。私は1988年に牧師に就任しましたが、これらの先生方に支えられて来たことを心から感謝しています。先生方が主に豊かに用いられている事実を思うにつけ、今野孝蔵先生の聖書信仰に基づいた指導力に頭が下がります。
 また、嶋田幸蔵先生を玉川神の教会に送ったあと副牧師として支えてくださった方々は、宮崎宣洋先生(19951997年、その後米国イースタン・メノナイト神学校・メノナイト合同神学校を経て、現在は、東京地区メノナイト教会連合・三郷キリスト教会牧師)、水野節子先生(1997年から現在に至る、20002004年は米国イースタン・メノナイト神学校へ留学)、ミシル(賀川)千世美先生(20002003年、インドのメガラヤ神の教会よりインドのダラムサラに派遣されているチベット人への宣教師)であります。先生方には、私の足りないところを補っていただき感謝しています。
 また、私が東京聖書学院で教え、東京ミッション研究所の所長をしている関係から、東京聖書学院の修養生を当教会にお迎えする機会も与えられました。河野克也先生(19901991年、ホーリネス・陣馬高原教会牧師)、新谷聡一郎先生(19911992年、ホーリネス・ブラジル宣教師)、中島真実先生(19921993年、兄弟団・一宮教会牧師)、松島信人先生(19931994年、ホーリネス・綾瀬教会)、松本順先生(19941995年、ホーリネス上野教会牧師)、小平徳行先生(19951996年、イエス・キリスト教団垂水教会副牧師)、浅野正己先生(19961997年、連盟・二日市栄光キリスト教会牧師)、伽賀由先生(20012002年、メノナイト教会・帯広地区・巡回教師)、神田めぐみ修養生(20022003年、東京聖書学院3年生)、川口恵子先生(20032004年、ホーリネス横浜教会教育主事)、火物恵子修養生(2004年、東京聖書学院2年生)、藤原智子修養生(20042005年、東京聖書学院1年生)が当教会に派遣され、奉仕して下さいました。また、19931994年には、糟谷恭先生が日本聖書神学校派遣神学生としてご奉仕下さいました。それ以来糟谷先生には、神の教会保育園でも顧問としてご指導いただいています。
 上記の修養生や神学生は、一人ひとり違った素晴らしい賜物を与えられている方々でした。素晴らしい説教者、若者や子供達の心を捕らえて話さない者、保育の専門家、年配者に寄り添って祈り励まして下さる慰めの人、人の悲しみを理解することのできる者、リーダーシップを発揮できる指導者、常に全体を見渡していて手薄になっている所にさっと移動して為すべき仕事を静かに喜びながら行う者、カウンセリングの専門家、子供への伝道に関心のある者等、全員が魅力的な献身者でした。感謝しています。
 また、忘れてはならないことは、教会を支えて下さり、牧師、副牧師、修養生を祈りつつ育てて下さったのは、教会の役員と教会員の方々であるという事です。毎週の礼拝が多くの方々の様々な奉仕によって守られ、参加者の少ない夕拝や祈祷会が存続できたのは、教会員の方々の働きによるものです。教会学校教師の方々も素晴らしい働きをして下さっています。
 2003年3月には西廣朱里姉が、清水信浩先生と結婚され、北海道名寄市にある日本キリスト教団名寄教会の牧師であるご主人を支えておられます。また、同年4月には木村紫姉が山本義武先生と結婚され、福井県勝山市の勝山自由キリスト教会で宣教師のお手伝いをされているご主人を支えていらっしゃいます
 教会員の方々が、日本各地の教会で活躍していて下さることは、教会にとっても大きな喜びです。

 また、練馬神の教会は日本神の教会連盟やアジア太平洋神の教会連盟の諸教会との交わりと研鑽の中で豊かにされてきました。日本福音同盟の諸教会との交わりによっても支えられてきました。それらの教会と共に東京ミッション研究所を生み出して教会に仕える機会も与えられました。
 
神の教会保育園は、地域のお子様方をお預かりし、キリスト教保育を実践して来ました。今野蓉子姉は、長年祈りを持って理事長の重責を担って下さいました。教会員の方々も、理事、園長、副園長として活躍していて下さっています。働く女性の増加に対応するために練馬区からの要請により、練馬区立旭丘中学校の敷地内に神の教会保育園の分園として「旭が丘いずみ保育園」が2001年2月に設立されました。豊かな社会となり商業主義のはびこる日本で、どのようにしたらイエス・キリストの愛を受け、豊かな心を育んでいくことができるのか試行錯誤の毎日です。 
 練馬神の教会の80年間の歩みには、悲しみに満ちている時もありました。苦しみに満ちている時もありました。しかし、これらの歩みの中で気づかされるのは、教会のすばらしさです。教会がすばらしいのは、教会こそが罪人の集まる場所であり、その罪人が救われる場所であるからです。罪人が集まる所には、時には、罪の現実の故の醜い争いがあります。教会こそ、人が一番傷つきやすい場所であり、また、傷ついたその痛みの声で満ちている場所なのです。しかし、同時にその場所は、神の導きの中で、イエス・キリストとの出会いの場であり、イエス・キリストに触れていただくことによる癒しの場であります。聖霊の導きの中にあって希望と勇気を与えられる解放の場であり、まさに神の救いの現実の場なのです。どんな時でもイエス・キリストは、私たちに触れて、癒して下さり、受け入れ、慰めて下さいました。また、力を与え、新たな希望に生きるようにと押し出して下さいました。
 復活の主との出会いの中で教えられた「主と共に生きていく」ということを実践していくことができるなら、どんな悲しみや苦しみの中にあったとしても、神様の恵みを体験し、希望を持つことができるのです。それはまさに使徒パウロが教えてくださった「和解の福音に生きる」ことなのです。たとえ色々なことが自分の思い通りにいかない時にも、社会や世界に多くの問題があったとしても、私たちは信仰をもって主に従い、和解の福音に生きていきましょう。

 練馬神の教会の80年、それは神様の豊かな恵みの中にあって導かれた歴史です。そして、それは新たなる80年間への聖なる神を目指す旅への歩みであり、私たちは今その一歩を歩み出すのです。